ADとAPの違い、業界歴6年の私の体験談

映像制作2部、テレビ東京「何を隠そう…ソレが!」という番組のアシスタントプロデューサー(AP)をやっているものです。
アシスタントディレクター(AD)歴4年、AP歴2年、どちらのポジションにも、それぞれの大変さとやりがいがあります。
今日は、自分の経験をもとに、その“違い”をリアルにお伝えできたらと思います。

体力勝負のAD時代:深夜テンションと青春の日々

まずADは、とにかく“体力勝負”の仕事です。

この業界に入って最初に配属されたのはスポーツ系のバラエティ番組でした。
アスリートを招いて、対決系企画の地方ロケが多く、撮ってきたものを編集してスタジオ収録に出して、レギュラー出演者がリアクションしたものを放送にのせるという、テレビの色んな形式が詰まっていて、業界基本を学べるのに最適な番組でしたが、
リサーチ、ロケ仕込み、編集、収録準備、許可取り、、、覚えることが多くて大変でした。

仕事の初日は徹夜で収録準備してからの長丁場の収録で、スタジオの照明が暖かくて立ったまま寝てしまいました…と、いまだに覚えています。
深夜までシミュレーションして、1時間仮眠とって、そのまま次のロケに向かう、なんて日も、よくありました。

寝不足と戦いながらも、なぜかやってこれたのは、一緒に走り回る仲間がいたから。
同期、先輩AD、ディレクターさんとのやり取りはまさに“現場の青春”でした。
深夜疲れ果ててしょうもないことで盛り上がったり、ロケ弁当に一喜一憂したり、ロケ道具に個性出して当日怒られたり…
今思えば、理不尽さも含めて全部、濃い思い出です。

何よりADは“新人として守られている立場”という安心感もありました。
怒られることもありましたが、同時に助けてもらえる存在でもあったと思います。

孤独と責任のAP:一人で決める重み

一方、APになると状況はガラッと変わります。

まず、仕事の“質”が違います。
ロケ先の調整、出演者や企業との連絡、予算管理、問題発生時の責任…。何かトラブルが起きたとき、「誰がやったか」ではなく「なぜ防げなかったか」を問われるのが、AP・Pという立場です。

一言で言うと、“物理的には楽になったけど、精神的にはキツくなった”。

たしかに、徹夜作業や重い荷物運びは減りました。体力的にはだいぶ楽になりましたし、年齢的にもこの働き方の方が合っていると感じています。でもその代わりに、頭の中は常に“放送の責任”でいっぱいです。

「この内容でクレーム来ないか?」
「法律・倫理的に大丈夫か?」
「視聴者にどう受け取られるか?」

誰かに聞ける時もあるけど、最後に「GO」を出すのは自分。
何度も確認し、悩んだ末に判断を下すその重圧は、正直AD時代にはなかったものです。

どっちが大変?向き・不向きとは

私が思うには、
• ADは体力・協調性・行動力が問われる仕事。
• APは判断力・責任感・精神力が求められる仕事。

正直、メンタルが弱い人にはAPはしんどいかもしれません。でも、ADも「気合で乗り切る系」が多くて、それが合わない人には向かないでしょう。

30代に突入した私は今、APという仕事が自分に合っていると感じています。寝ずに走り回ることが減った分、少し心と体に余裕ができた、でもその分、孤独で、自分自身と向き合う場面も増えました。

最後に、
これからテレビ業界に入りたい人へ

テレビの現場って、見た目よりずっと泥臭くて、ハードです。
でも、そこにしかない“熱量”や“夢”が確かにあります。

ADもAPも、それぞれのフェーズでしか味わえない景色があります。

もしこれを読んでいるあなたが、テレビ業界に興味があるなら、まずは飛び込んでみてください。
そして、自分のペースやスタイルに合った働き方を、見つけていってほしいなと思います。


▲深夜、同期とロケ準備をするAD時代


▲友人と休日を満喫するAP時代

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