ピンチはピンチでしかない

  • プロデューサー 加藤毅

ドラマ映画制作局プロダクション2部プロデューサーの加藤です。
何の取り留めのない話ですが、お付き合いください。

ここ数ヶ月、新型コロナウィルス渦で世の中が大変な状況に陥ってしまいました。
相次ぐ倒産等で話題となっている飲食業界やアパレル業界と同じ様に、映画業界も大きな打撃を受けており、
この状況の中でどう生きていくのか、非常に難しい局面に立たされております。

聞き飽きた「ピンチをチャンスに!」

そんな中、方々で聞くのが「ピンチをチャンスに!」という言葉。
発想の転換で道を切り開け!という意味合いだとは思いますが、
そんな天才的な打開策を持ち合わせていない私には、
右から左へ流れてゆく何の意味もない言葉でしかありません。
むしろ、耳が痛くなるほど聞きすぎて嫌いな言葉になりつつあります。

しかし、一方でピンチをチャンスに変えている人がいることも事実。
例えば、東京都のコロナ対策では、各業種への様々な支援を行っており、
飲食事業者の業態転換支援、医療機器産業への参入支援、緊急対策設備投資事業等々…
30近くの制度を設けております。
これを受けてニュース番組では「都財政のピンチでは!?」と騒がれていますが、
一方で、小池都知事の支持率はコロナ渦で急上昇。先日の都知事選も60%近い得票率を得て圧勝。
なんだかんだコロナ渦のピンチを支持率アップのチャンスに変えていたりしています。

撮影現場の「ピンチ」が「チャンス」を生み出す!?

どうでもいい話ですが、私が「ピンチ」と聞いて最初に思い浮かぶのが、撮影現場でお馴染みのコレです。

主に照明部さんや撮影部さんが大量に持っており、撮影現場にて使われる必要不可欠な道具です。
(具体的に話すると長くなるので割愛します)

ある時から現場撤収の際、忘れ去られたピンチを集めるようになりました。
(本当は各部に返さなければなりません!)
気付けば、技術職でもないのに現場バッグの中にはピンチが常時ストックされている状態になり、
照明技師が照明助手に「ピンチ(くれ)!」と言った瞬間、
自分が近くにいる時には「はいっ!」と手渡していました。
そうすることで、別のセッティングをしている照明助手がやって来てピンチを渡すより、
5秒は作業時間が短縮されるからです。

たかが、5秒と思うかもしれませんが、塵も積もればという考え方で、
時間のない撮影現場ではこの5秒が大切にされます。 
5秒が30秒になり、30秒が1分になり、1分が10分になり、、、
そして1カット多く撮影できるチャンスが生まれます。
たったひとつのピンチが1カットのチャンスを生む可能性を持っているのです。

たかが「ピンチ」。されど「ピンチ」。
こんな身近に「チャンス」を生み出すモノがあったなんて!!と、ひとりごちておりました。
(え?ただの親父ギャグ!全然上手くないし!)

ピンチはピンチ!敢えてピンチに流されてみる

しかしながら、
自分が抱えているピンチ(※ここからは道具の意味ではありません)をどう打破するのか・・・
これが難しい問題なのは言うまでもありません。
「ピンチをチャンスに!」という発想の転換なんて考えだすと、永遠と答えは出せません。
冒頭で申し上げた通り、自分の場合には天才的な閃きを持ち合わせておりませんので。

そんな私がここ数年で習得したピンチ打開術があります。
それは、「ピンチはピンチでしかない!敢えてピンチに流されてみる」ということ。

数年前にとある大先輩プロデューサーから言わました。
「加藤くんはいつも抗っているね、たまには流されるのもよいよ」
日々の色んな焦りやピンチが顔に出ていたのでしょう。
言われた当所は??(何を言っているんだ!?)でしたが、
時が経つにつれ、自分なりに解釈し、ひとつずつ意識して、ピンチの度に流されてみることにしました。
結果、物事が良い方向へ進んでいくことが多々あったのです。
ただの強運といえばそれまでかもしれませんが、自分が置かれている立場を見つめ直し、
敢えて流されるという意識が色んな効果を生み出し、道を拓くきっかけになったのです。

気付けば、長いフリーランス人生を終え、
UP(入社時はフーリンラージ)に入り、プロデューサーとなっておりました。
それまでは自分が会社員になるなんて微塵も考えていなかったことです。
(これも結果良かったのではと思っております)

抗うタイミングを見極める

ここで補足しておきますが、抗わず流れるだけではただの現実逃避です(笑)
どこまで流れて、どこで踏ん張るのか、
そのタイミングを見極めることが非常に重要になってくるのだと思います。
(誰だって踏ん張り続けるとガス欠起こしますから!)

映画業界のピンチな状況は間違いなく続いていきます。
ですが、ピンチがあるからこそ現場は動き、この状況に敢えて流され、抗うタイミングを見極める・・・
これが自分ができる唯一の「ピンチ」の活かし方だと考えております。

さて、この自粛期間中、抗うタイミングはいつかいつかと探っておりましたが、
全く先が見えてこず、自分の凡人性を痛感しておりました。
気分転換に自宅の大掃除を行ったところ、大量の古いピンチ(※これは道具の方です)が出てきました。
ピンチはピンチでしかない!そう思いながら、ごみ袋に放り投げ、
ネットフリックスをつけようとした瞬間、床に転がっていたピンチを踏んでしまいました。
これがまた悶絶するくらい痛い。
痛過ぎてまさにピンチに陥りました。
そして、ピンチを放棄した自分を反省し、そっとごみ袋からピンチを取り出しました。
「きっと、この多くのピンチがチャンスを生んでくれるに違いない!」と思いながら。

関係ないけど、最後に…

さて、最後にドラマ映画制作局プロダクション2部のメンバー紹介を致します!
(これまでの話と全然関係ないじゃん!!すみません!)
メンバー5人という、おそらく社内最少人数の部署でございまして、和気あいあいとやっております。

向かって右から

原田AP(アニー)…4歳~16歳まで子役として活動し、ミュージカル・アニーの出演経験も。
彼女はいったいどこへ向かっているのか。部内イチの行動派(仕事もプライベートも)。

横尾監督(部長)…映画監督でありプロダクション2部の部長。愛妻家であり子煩悩。
魅力的な人たち(素敵な俳優部や優秀なスタッフなど)を引き付ける魔法を持っているらしい。
是非教えてもらいたい。

相羽P(兄やん) …部内の兄貴的存在。いかなる問題も笑顔で立ち向かう山の不動。
顔は怖いがとっても優しい。
「押忍!」が口癖で、元格闘家。

わたくし加藤   …人当たりが良いと言われるが、やや頑固なのが欠点。
自粛期間中にキラキラ青春映画を見過ぎて、キラキラ映画課・課長に昇進。(そんなものは無い!)

片平AP(あずさ)…若干23歳にして仕事の緻密さと正確さは他を寄せ付けない。
上司の誘いを平然と断る、まさに女性版ターミネーター。と言ったら、あとで怒られそう。

本当に取り留めのない話で失礼しました!
今後ともよろしくお願い申し上げます。

加藤毅

TOP