上海での小噺

  • ドラマ映画部国際課 南本良太朗

ドラマ・映画制作局プロダクション1部国際課の南本です。

昨年末に日中合作企画の打ち合わせや、合作企画のシナハン、現地映像産業の視察などのため上海に1週間ほど出張に行きました。海外へは撮影などの仕事で度々行くことはあったのですが、中国に行くのは今回が初めてで非常に刺激的な体験がいろいろできました。上海の街並みや人の勢いに、

「中国スゲー」「上海スゲー」

という体験ができたのですが、今回の出張で一番痛感したのは言語力!でした。
なまじ英語ができればなんとかなると、過信して中国に行くと全く言葉が通じない…。中国に行くからにはこりゃ最低限の中国語は勉強せねば大変だと痛感した次第であります。

今回は、そんな、なめちゃいかんよ中国!

な体験談をご紹介させていただきます。

とはいっても、世界の大都市上海であります。リニアも走れば、地下鉄も走ると公共交通システムは充実しまくりなのであります。私も、旅慣れしてないわけではないので、出張期間中はタクシーではなく上海地下鉄に乗りまくり街を縦横無尽にめぐりチャイナパワーを吸収(満喫)しておりました。

そんな出張4日目にして、今回の出張の個人的メインイベントの現地の映画スタジオに行ってきました。

上海の近くには5つほどオープンセットがあるのですが、その中でも都市部に近く大きい上海影視楽園という20年代の上海の街を再現しているセットのあるスタジオに向かいました。事前に日本のサイトなどで行き方を入念にチェックしたところ、どうやらスタジオへは地下鉄からバスに乗り継いで行くしかないとの事。その中で、どの駅のバス停で乗り継いでいくのが分かりやすいかなど懇切丁寧に解説してくださっているサイトがあり、どうやら蓮花路駅からバスに乗り、車徹というバス亭で降りるとの事。幸い駅のバス停には乗り場ごとに経由する主なバス停が書いてあり、乗り場に行けばどれに乗ればいいのかわかるとの事で、バスに乗るのまではスムーズにできました。そのサイトによると中国の中長距離バスに乗る際は、添乗員さんに行き先を告げ、言われた金額を支払い、降りる駅になると声をかけてくれるというシステムのようです。私は停車しているバスの運転席で爆睡している運転手をしり目に、他の客にならい僕的のバスに乗り込み出発を待ちます。言葉の通じない国に行くと、そんな待ち時間も、「あれ?これいつ支払うん?バス間違ってないよな?」と内心不安だらけなのであります。しかし、旅慣れしたクールな日本人を装い、私は本なんか読んだりするのですが、不安で全く頭に入らず同じページを何度もめくったりなんかしてしまうのであります。

ついに、出発の時間が来たようで、添乗員のおばちゃんが前の方の席から順番に行き先を聞いて回ります、私は中国語話せませんと英語と(全く発音は間違って通じてないであろう)片言の中国語で伝え、スマホで行き先のバス停を提示し、お金を払い、チケットと一緒にお釣りを受け取ります。なんや楽勝ですやん。と安心しているとバスは出発し、高速にのり進んでいくのであります。高速バスというのは不思議なもので、流れる景色とバスの揺れは、緊張からとけた体には睡眠導入剤と同じであり、気持ちよく眠りについてしまいました。目が覚めるとちょうどバスが高速から降りる処のようで、事前に地図で確認していたところの理解では、

半分ぐらいまできたなと勝手に思っていると…..

添乗員のおばちゃんがなんかめっちゃ話しかけてくるやん…!

私は中国語分かりませんと、ベタなジェスチャーをしても、超話しかけてくるおばちゃん…。するとバスがバス停に到着します。めっちゃ話しかけてくるおばちゃんに、

「え?降りろってこと?」

と思い、ささっとそこで降りてしまいました。バス停を降りてスマホの地図を確認すると、目的地まであと5KM!!

やっぱりまだ半分ぐらいでしたやん…。

と途方に暮れているところ、同じバス停でおりた若者はどうしたんだ?と声をかけてくれ、映画スタジオに行く予定だったのだが間違って降りたと英語で伝えると、スマホでなにやら調べてくれ、ここでまって次のバスに乗ればいいよと英語で言って去っていきました。ありがとうと伝えつつも、

内心「ありがとう、でも普通そうですよね」と思ってしまう自分のダメさが目を出してしまい少し反省。

しかし、降りたバス停は、ド田舎を走る片道3車線のこれはもはや高速ですやんという幹線道路の脇。どうやら道路の裏の方に住宅街があるようですが、次のバスはいつ来るのかという人気の無さ。その日はもう一軒行きたいところがあったので、バスを待つか歩くか悩み、歩いて向かう事を決心!

お兄さん、悪いが俺は歩いていくぜ!

バスが1時間以上来なかったらそっちの方がロスになるのでな!と内心やさしいお兄さんに詫び

を入れ5KMの道のりをひたすら歩いて向かうのでした。

すると歩きだして15分程すぎたこと、

横をブーン!

と猛スピードで駆け抜けるバスが。あー、お兄さんの言う通りあのままバス停で待っていればよかったと猛省したのは言うまでもありません。約1時間の道のりの中、反対車線の道で、行きに乗ったバスが来た方向へ戻っていくのにもすれ違い、すれ違うバスからの同じ添乗員のおばさんの視線は一人歩きの虚しさに拍車をかけられました。

目的の上海影視楽園に到着した際は、映画に携わる端くれとしてそのスタジオの凄さにテンション爆上げになるのであります。しかし、如何せんスタジオ内も広いので5km歩いた後にはややこたえるものがありました。基本非常に満喫できたスタジオ見学で一番ショックだったのが、スタジオのガイドMAPを見ると近くに車徹駅という国鉄の駅が通っていたという事実。

「バス乗らんでよかったんかい!」

流石に一人で日本語で突っ込んでしまいました。というわけで、帰りは無事電車で市内まで変えることができました。(スタジオが大きい分、駅までも2KMと歩きましたが…。)

また翌日には、上海女性の酒豪と飲むことになり、8万円程おごらされるという切ない体験もしてしまうのです。。。。。が、詳細はまた別の機会にさせて頂きます。

以上、中国・上海で言葉の壁を痛感した教訓談でした。しかし、今回の出張で上海がいかに素敵な街か体感できすっかり魅了されてしまいました。おかげさまで、出張の一番の目的であった、上海を舞台にした映画の企画に一層やる気がみなぎりました。でも、やっぱり、海外とやるからにはその国の言葉は勉強しないといけませんね…。

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